272人が本棚に入れています
本棚に追加
――――4月6日――――
その日はやって来た。
私は朝早く起きると念入りに化粧をし、何度も服を選び直す。そして吉祥寺へと足は向かっていた。
公園までの道のりを心臓をバクバクさせながら進んでいく。
この道を通る時にはいつも隣りに愁がいた。
公園に到着したのは10時だった。公園入り口には誰もいない。
みんな今年の桜を見に、歩いているカップル、友人、夫婦、老人ばかりだ。
私は落胆した。
やっぱりもう遅かったんだ。
愁はもうここには来ないんだ。
そう思いながら満開の桜を横に公園内を歩き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!