澄橋 狐織-すみはし こおり-

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授業も終わり、一日の不満や成果の飛ばし合いで賑わう校舎、真っ白な壁は、黄昏色に自身を染めながら、夕陽を照り返す…。 うちの学校は屋上は解放されていない、 扉の強化ガラスの編目の間からその姿を垣間見るだけ…… 空の大海原に、漕ぎだせそうで、漕ぎだせない… そんなもどかしくも、無情な気持ちで俺は、 乱雑に積まれた暴挙(机と椅子)が転がる踊り場の桟橋から、 ただ空(海)を漂う雲を眺めている。 夕陽(黄昏)と机(暴挙)……刹那と激動入り交じるこの踊り場は、 俺の心の“映し鏡”のように、姉を意識不明に下ヤツえの怒りと、助けられない悔しさが表れている………。 澄み渡る空(海)、 踊り場の桟橋、 机と椅子は荒れ狂う妖狐、 漂う雲は何処かで見たかもしれない神の羽織、 そして、その空間の総てが 「澄橋 狐織」(俺)自身を作り出している。
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