短編です

7/12
前へ
/12ページ
次へ
――――――――――――。 全てが終わるまで、時間はそんなに掛からなかった。 標的は全て血と肉塊へと変わり、地面は大きな血の池と変わる。 その点、仲間の方は小さな傷一つ無く、息も乱していない。 僕は仲間の無事な姿に安堵すると、視界の端でガタガタと腰を抜かしたまま動けない中年の男に視線を向けた。 「ひ・・・・・・っ!!!!!」 僕の視線に気付いた男は、この場から逃げようと必死に足を動かすが、腰が抜けたままなのと、震えで思うように体が動かない。 僕は刀を抜刀したまま、無言で男へ近付く。 「た・・・助けて下さい・・・・!!私は・・・あのお武家様方を送っていただけなのです!!!!!も・・・もうすぐ私の娘が孫を産むんです!!!!私も妻も、娘も皆楽しみにしているのです!!!ですから・・・・・・どうか・・・どうか・・・命だけは助けて下さいぃぃぃぃぃ!!!!!」 顔が涙や鼻水でグシャグシャになるのも気にせず、男は必死に命乞いする。 僕は男の足元まで来ると立ち止まり、静かに見下ろした。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加