短編です

9/12
前へ
/12ページ
次へ
――――――――。   僕の目の前には、男の変わり果てた姿が地面に転がっていた。 男のすぐ傍には短刀が落ちている。 男も標的の仲間だという事は初めから分かっていたが、刃を向けぬ人間を僕は出来る限り殺したく無かった。 このまま逃げれば助かったのに・・・お孫さんの姿を見ることが出来たのに・・・・・何故、僕に刃を向けたんですか? そう問いかけるが、一度死んだ人間は、もう二度と動く事も言葉を発する事も出来ない。 僕は無言で刀の血を払うと、ゆっくりと鞘へ納める。 「次に生まれ変わる時は、平和な時代でありますように」 去り際に一言だけ男へ語りかけ、僕は仲間の待つ方へ歩いて行った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加