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彼女を見た気がした。
そう、彼女を。
バーン。
弦楽器の緩やかな演奏が突然止まる。
「いたぞ、こっちだ」
「見つけた。殺せ」
「こんな豪勢な……。この野郎、こっちは草食べて必死に働いてるのに」
身なりもボロボロな人々が大勢、強引に開け放たれた扉から殺到してきた。
彼らの持っていた武器も粗末な鍬や鋤という農具だった。
しかし、怒れる烏合の衆はそんなことを気にも止めずただ猪のように突進する。
ガウェインは、とうとう時が来たことを悟った。
彼等はロマリアの民。
ようするに反乱だ。
しかし、そもそも今まで反乱が起きなかった方がおかしかったのだ。
「さぁお嬢さん、お逃げなさい」
ガウェインは少女に言った。
「……義父様!」
「?」
だが、彼女はガウェインの忠告を無視し、王座に突進した。
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