1人が本棚に入れています
本棚に追加
期待していた分がっかりした。
「あら。誉められることを期待してたんですか? ごめんなさいね」
悪びれもしない言いように少々、苛立ちを覚えたが、その顔を見て思い直した。
「私は、誉められることが好きでね」
もう一言付け足しておこう。「……例えそれが誰でもね」
「まぁ、意地悪な人」
「君こそな……。このガウェインの名と分かりながら話し掛けるとは、なかなかの勇気と意地の持ち主だ」
少し仕返しだ。
今頃になって酒が回ったかな。最高の美酒の……。
「噂は常に尾鰭がつくもの。人魚のように」
「俺はマーメイドじゃない」
「男ですからね……。男性の人魚はマーマンですよ?」
「どっちでも同じさ……」
「どうでしょう?」
彼女と視線が合い、数秒固まる。
そして、二人は……、
お互いに吹き出した。
「くすっ。あぁ、可笑しい。でもなんで笑ってるんでしょう?」
「ハハハ。わからない、でも楽しい」
美酒は、酔いの廻りも速いようだ。
顔が熱くなっているのを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!