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低く威厳に満ちたしわがれ声を上げ、俺を睨んでいた。
「ああ。あたしのクラスメートで、平井尚哉(なおや)」
心なしか、天川も厳しい口調。
俺はこれが『事前面接』だと悟り、慌てて立ち上がると、精一杯の笑顔を浮かべて自己紹介。
「初めまして、平井尚哉といいます」
しかし、目の前の老人は厳しい表情を緩める様子もない。
「海晴」相変わらず俺を睨んだまま「何故、この男を加える。候補はすでにわしの方で選んでおる」
「たまには別要素を加えるべきだ。それに」
天川はティーカップをテーブルに戻すと立ち上がり、俺の隣に並んで肩に手を乗せた。
「これまでの『ゲーム』の結果から考えれば、この候補者を拒否することは許されない、だろう?」
「お前一人の考えか」
「いいえ。わたくしの提案です」
答えたのは、双海さんだった。
「お前が…」
老人は絶句して、そのまま黙り込んだ。同時に、厳しく光っていた眼光が急速に衰え、気が付くと、やけにしなびた老人のようになっていた。
「…勝手にせい」
最後は呟くように言い捨てると、そのまま部屋から出て行った。
えーと、これで面接は終わったんでしょうか。
「終わった。合格だ」
こちらの疑問に答えるように、天川が俺の背中を軽く叩いた。
「今度の土日、『ゲーム』が行われる」
俺にもチャンスが与えられたってことか。
…え?
「泊り掛け?」
「ああ」
「げ。新聞配達のバイトが」
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