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所々についてる黒い染みは、てらてらと流れ出していた僕の血なのだろう。
サキがその箱を受け取った時、母さんは何とも言えない表情で唇を動かした。
「響はホントにサキちゃんの事、好きだったのね」
とサキに微笑みかけた。
サキはその小さな箱を見つめていた為、母さんが微笑みかけた事に気付いていないようだ。
サキはその箱をパカッと開いた瞬間、ポロポロと涙を零した。
RINGを手に取り、少し眺めてRINGを握り締め声をあげて泣いた。
「ふぁあああぁぁ…響…く…ん…ぁぁああ゙あ゙」
サキは僕の身体にしがみついて泣き叫んでいた。
今の僕には、しがみつかれた感触も彼女の温もりすら感じられない。
どうしてサキが、こんなに泣き叫ばなきゃいけないのか。
不甲斐ない僕自身に、また忌々しさが込み上げてきた。
どうして僕だったんだろ?
サキの温もりを感じたい…
神様一度だけでいい、僕の声を届けてくれ
こんなに壊れたサキを見たのは初めてで、抱き締めたくて、僕は此処に居るよと伝えたくて心の中で神様に祈りを捧げていた。
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