大切な日

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    その日は服装も髪型もバッチリ決めて、前々から予約していたRINGを昼前から取りに出掛けた。 今日は彼女のサキと会う約束をしている。     丁度五年前の今頃、丘にある公園に呼び出した。 そこには大きな秋桜[サクラ]の木がある。 その秋桜の木の下で、サキに僕の想いを伝えた。 サキは少し照れながら、小さく頷いてくれた。 こんな僕でもいいと、サキは言ってくれたんだ。     RINGを受け取り、店員のお姉さんに少し冷やかされ、店を後にしようと扉に手を掛けた。    「上手くいくといいですね」     と背に言葉を投げ掛けられ、肩越しにお姉さんと双眸を合わせた。 僕は後頭部に手を添え、照れながら頭を下げ扉を閉めた。     「給料三ヶ月分なんていかないし安いRINGだけど… RINGというよりENGAGEMENT RINGって言えばいいかな… 喜んでくれるかな?」     少しの不安と淡い期待、そんな想いが入り交じる。 RINGを取り出し太陽と重ね合わせる。 慈しむ君に贈るRING、僕とサキの名前をRINGの内側に刻み込んである。     もしも受け取ってもらえなかったら―――…     「ダッセェな」     と苦笑しつつも、サキへ贈るRINGを小さな紺色の箱にしまい込み、ポケットに捩じ込んだ。    
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