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でもサキは一向に顔を上げようとしない。
大切な話しようと思ってるのに…
だからって、そこでめげず多少サキが怒っていようと、僕は話を進める事にした。
きっとこの話をすれば、サキは顔を上げてくれるだろうと信じて。
「サキ…実は伝えたいことがあるんだ
大切な話だから聞いてほしい…」
サキはまだ顔を上げてくれない。
ブランコを小さく漕ぐ事も止めてくれない。
僕はポケットの中に手を滑り込ませた。
…!?ない!?………ないないない!!
僕は上着のポケットやデニムのポケットに手を突っ込みまくった。
でも…なかったんだ。
何処にもない…
大切なあのENGAGEMENT RINGが…ない
物凄く焦った。
手が震える。
冷や汗が出そうなほど血の気が引く感覚。
何で?どうして?とクエスチョンマークが頭から離れない。
確かにデニムのポケットに捩じ込んだはず…
こんな時にENGAGEMENT RING落とす馬鹿は僕しかいないだろう。
自分の馬鹿さ加減に忸怩と焦燥が入り交じる。
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