左回りの時計

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左回りの時計

  -今から二十分前-     時間を確認する為、腕時計へと視線を巡らせ慌てる僕。 とにかく信号が疎ましかった。     嗚呼、時間がないのに     苛々しながら信号機が青になるのを待った。 まだかまだかと信号機と、腕時計を交互に見比べる事七回目。     信号機が赤から青に変わった瞬間、横断歩道を誰よりも早く渡ろうと足を踏み出した。 二、三歩歩みを進めた時だっただろうか、僕の視界に何かがスッと入ってきたんだ。     異変に気付いた僕は、立ち止まり、その何かを確認しようと真横に目を向けた。     その時、その何かが信号無視のトラックだと一目見て理解した。 その時の映像は全てがスローモーションに思えるほどゆっくりで、人の悲鳴もトラックのクラクションの音さえもスローモーションに僕の耳に入ってくる。     あっ…僕もうダメかも     と客観的に思いながら、僕の身体が宙に舞う頃、身体とは裏腹に魂だけは約束していた、あの公園へと向かっていた。    
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