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事実は…残酷でゴザイマス
憂鬱な表情を浮かべ、暗くなった空とともに、ブランコから立ち上がる彼女の表情を見て、申し訳なさと自分の現状が腹立たしくて仕方がなかった。
どうして僕が…何であの時…
自分を責めては自己嫌悪。
何も言えないまま、終わってしまったようなもの。
「…嘘つき」
ボソッと俯いて呟くサキの言葉に胸が痛む。
僕は…此処に居るのに…
何も出来ない、せめてもの償いでサキの家まで着いて行った。
守りたいけど見守る事しか…今の僕には出来ないから。
家に帰り着いたサキに、サキのお母さんが血相変えて玄関まで走り寄ってきた。
聞かなくても解ってる。きっとあの事だろう
でもサキは何も知らない。
自分の母親の慌てように、戸惑っているようだ。
「サ…サキ、アンタ……っ…」
サキの母親は、唇に手を添え涙をポロポロ零した。
数十秒の沈黙が続いた。
いや数十秒、サキのお母さんの嗚咽が玄関で響いた。
「…何で泣いてんの?
どうしたの?お母さん」
母の肩を揺らすサキも、たぶん何か嫌な予感がしている筈だ。
「お…落ち着いて…聞くのよ…」
涙声まじりに彼女の母親はそう言った。
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