第壱幕 一人の落ちこぼれ

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ここでリリィの外見の簡単な説明をしておこう。 流れるような長い銀髪に絹のように艶やかで白い肌。背格好はあまり高くはないがスタイルの良い身体。 顔は少し幼げではあるが意思の強そうな蒼い瞳が印象的な、俗に言う美少女であった。 しかし彼女には決定的な欠点があった。 それこそ、彼女が落ちこぼれと言われる由縁。 そう、リリィは魔術が全く使えなかったのだ。 そのため彼女はいつも皆の笑い者だった。 虐められていた、と言う訳ではない。 だがプライドの高い彼女はそれが悔しくて仕方がなかった。 何度も夜、枕を濡らしたか知れない。そしてその数沢山の努力をした。 いつも筆記試験は一番を取ってきた。 毎日欠かさず体術の鍛練をした。 『負けたくない』その一心だった。 そしてこの日、彼女の努力の努力の成果を見せる時がきた。
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