第9話 エピローグ

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その後…関根さんの手術は成功…絋くんも長い眠りから覚めた。 同じ病室で再会した2人の親子は互いを抱きしめて泣いていた。 そして、関根さんは今日…警察の病院へと移送されることに… やっと会えたのに…こんな… もっと早く気づくべきだった。 「…誠也くん。ありがとう…君のおかげで大切なことを思い出せた…私が忘れかけていたこと… まさか、君に気づかされるとは…これからも絋のことを頼むよ。 まだまだ放っておけないからね」 「絋の父親は…あなたです。 まだ話したいことや伝えきれないことがあると思いますが… それは帰って来て話して下さい」 「誠也くん…」 「あなたの帰る場所には、いつも…絋がいてくれるんですから… もう、悲しませちゃダメですよ」 「あぁ…心に誓うよ」 これで、よかったんだよね。 関根さんも絋くんも…そして… 誠也くんも笑顔になれたから… 「幸人くん。誠也くん」 「早苗さんと…」 「猛夫さん」 「絋くんから、宣彰さんのことを色々と聞いたの。そしたら… 宣彰さんは絋くんを引き取ろうとしていたことがわかったわ。 でも、絋くんは断ったらしいの」 「どうして…」 「私も不思議に思って聞いた。 そしたら、彼…こう言ったのよ」 『たしかに…石田先生のことは、尊敬もしてるし…好きです。 もちろん、早苗さんも好きだし…出来るなら一緒にいたいです』 『じゃあ…どうして?』 『……一人だけだから……』 『え…』 『僕の父親は一人だけだから…』 「そう言って…笑ったわ。 あの笑顔を見たら何も言えない」 「早苗さん…」 「私も初めは恨んでいた。 友美を殺した犯人を恨み…犯人が分かったら、この手で…と思っていたが…その気が失せたよ。 あの子と関根さんの笑い合う姿を見ていたら…何も言えなくて… 恨む気持ちは失せてしまったよ」 「あの人も傷ついたから…本当に大切なことに気づいたから… 私も猛夫さんも恨んでないわ…」 「ありがとう」 早苗さんも猛夫さんも関根さんを許してくれて本当によかった。 これで…もう、大丈夫だよね。 「形のあるものが、幸せに繋がるとは限らないと…思い知った。 大切なのは、お互いの気持ちだ」 「かっこつけないで下さい。 先生がやると…シラけますから」 「んなっ!誠也く~ん💦」 なんだかんだ言って… この2人は、いいコンビだね。
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