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「やれやれだな……」
今になってこんな仕事を引き受けた事を後悔するヘルシャ。このような輩は性質が悪く、そしてしつこい。できれば相手にしたくない部類の人間だ。
普段なら盗賊達が寝静まるのを待つのだが、この騒ぎようでは夜が明けたとしても寝静まる事はないだろうと、盗賊達のアジトに乗り込む事に決めるヘルシャ。
先ずは敵の数の確認の為に気配を消し窓から少し顔を覗かせ、室内に居る敵の数を数える。
「5、6……15人ってところか」
いくら鍛錬を怠っていないヘルシャでも、窮屈な室内での戦闘になれば逃げ場は無く、数の多い敵が有利なのは明確である。しかしヘルシャの行動は単純明快で、木製の扉の前まで歩くとその扉をおもむろにノックし始めたのだ。
淑やかとは懸け離れた、がさつな叩き方で扉が叩かれ、予想外の来訪者に盗賊達は一瞬飛び上がりそうになるもなんとか堪えると、下っ端が応対の為に扉を開く。
ヘルシャは木の軋む音と共に開かれるソレに手を掛けると一息に開け放った。
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