0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「…………おい」
嘘だろ? そんな俺の言葉は自身の驚きに消された。
目の前には、美少女。そう、美少女!
見下す視線すらも美しい、そんな美少女が――。
「どーん」
消えた。いや、顔が……変わった。
「詐欺レベルの変身おめでとう!」
悲しみと恐怖を織り交ぜた声は、俺のものなんだろう。
美少女は、この場にいる事を否定したくなる程壮絶な変身を遂げた。
――壮絶。そう正にその表現だ。その表現以外は認めない。
爆発したかの様に中身をさらけ出す腹部に、飛び出た目。腕なんて皮一枚で繋がっているだけで、機能なんてしないだろう。両足は関節とは完全に逆側に曲がっている。
「どうもー、あなたの守護霊でーす」
「チェーーーーンジ!!」
声高らかに、俺は叫ぶ。
「もう、五月蠅いです。耳が聞こえなくなります」
「あんた、耳ないじゃん!!」
俺の守護霊を名乗るミス恐怖大賞受賞者は、綺麗な声でボケた事を抜かす。
「頑張れば、人は変わっていけます。私はそれを体現した存在で……」
「だったらまず、その容姿を元に戻して!」
流石に、この姿のままでは話し辛い。いや、見難い。ってか、消えてほしい。
「はいはい、分かりましたよ。クソ面食い眼鏡野郎」
「眼鏡かけてねぇよ!」
やれやれ、と言った感じで最初現れた時の姿に戻るミス恐怖大賞受賞者。
「そうそう、それ……」
「どーん」
「いや、変身する時の音軽すぎだろ!?」
最初のコメントを投稿しよう!