見つめる者

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「…………おい」  嘘だろ? そんな俺の言葉は自身の驚きに消された。  目の前には、美少女。そう、美少女!  見下す視線すらも美しい、そんな美少女が――。 「どーん」  消えた。いや、顔が……変わった。 「詐欺レベルの変身おめでとう!」  悲しみと恐怖を織り交ぜた声は、俺のものなんだろう。  美少女は、この場にいる事を否定したくなる程壮絶な変身を遂げた。  ――壮絶。そう正にその表現だ。その表現以外は認めない。  爆発したかの様に中身をさらけ出す腹部に、飛び出た目。腕なんて皮一枚で繋がっているだけで、機能なんてしないだろう。両足は関節とは完全に逆側に曲がっている。 「どうもー、あなたの守護霊でーす」 「チェーーーーンジ!!」  声高らかに、俺は叫ぶ。 「もう、五月蠅いです。耳が聞こえなくなります」 「あんた、耳ないじゃん!!」  俺の守護霊を名乗るミス恐怖大賞受賞者は、綺麗な声でボケた事を抜かす。 「頑張れば、人は変わっていけます。私はそれを体現した存在で……」 「だったらまず、その容姿を元に戻して!」  流石に、この姿のままでは話し辛い。いや、見難い。ってか、消えてほしい。 「はいはい、分かりましたよ。クソ面食い眼鏡野郎」 「眼鏡かけてねぇよ!」  やれやれ、と言った感じで最初現れた時の姿に戻るミス恐怖大賞受賞者。 「そうそう、それ……」 「どーん」 「いや、変身する時の音軽すぎだろ!?」
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