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トラック内。
「広い」
進藤が口を開く。最近やけに進藤が喋る気がする。
それを取りこぼさないかのように向かい側のソファーに座っていた神川が「確かに、5人でもまだ何人か行けそうね」と返した。
「お前、ここまともに続ける気か?」
進藤が神川にだけ聞こえるように小さな声で言う。
「え?……」
進藤が少し怖い目で神川を見つめる。神川は何か恨まれたのかと思いつつも その美男子すぎる顔に見つめられる恥ずかしさがミックスし動揺する。
「あんたは。あんたはどうなのよ?」
完璧な返しだ。
神川は口元をにやつかせた。
「面倒だ」
進藤はそのままソファーの上に転がり…………寝た。
「(なんなのよ)」
神川は制服のスカートの裾をぐしゃっと握った。
「お前……」
「ひっ!」
神川の耳元で呟いたのは剣山だった。
「神川……」
「ちちちちち、違うわよ!なんか、なんとなく……」
「あと少しで三条高校だって」
「へ?」
「で、なんか勘違いしてるみたいだけど、なんかあったわけ?」
剣山がニタァと笑う。
トラックには剣山の顔に拳があたる「ガス」といった音が響き、トラックは三条高校の門をくぐった。
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