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「はい?」
「ほら、こいつ、千尋の知り合――――」
「千尋!」
経堂寺を押しのけ千尋の前に立った人物。
高校生にしては大人びた雰囲気と、女子にしては怖い雰囲気を合わせもった風潮。
「……え!」
「久しぶりだな、馬鹿部長」
「剣崎先輩!」
そこで腕組みを始めたその人物は 剣崎 瞳 【ケンザキヒトミ】
千尋が中学一年生の時に三年生であったメンバーの一人。
杉山、稲原含めた幹部メンバーにひっそりとも堂々とも混じっていたホルン奏者だ。
バッサリとした考えと冷たい態度から、カッコイイと憧れる女子は少なくない。
そんなお世話になった人が……
「お久しぶりです……」
「やってるとは噂で聞いたが、まだやってたんだな。元気か?」
「はい……」
嬉しい気持ちと、最後に見せた屈辱の恥ずかしさが入り混じり、千尋はずっと下をむいてした。
「相変わらずだな。また後でゆっくり話を聞くとする。他はどうした?」
剣崎は千尋の頭をポンポンと撫でると辺りを見回した。
「……ほぅ、いい面構えだ」
剣崎は職員室の前に居た4人と目があった。
しっかりとした目
冷酷で冷たい目
天真爛漫な目
光ある目
「こんにちは、私が部長の剣崎だ。千尋とは面識があってな」
剣崎が千尋に微笑みかけた
「(この人…………変わってる)」
千尋はちょっと憧れた目で剣崎を見た。
「あのー」
経堂寺が間から入ってくる。
「あんたら先輩後輩だったんだ。まさかだね。なんかちょっと楽しくなってきた。ひとみ、今日みんないる?」
経堂寺が剣崎の方をみた。
「はい。いますよ。此方も初めての合同練習なので緊張してますがね」
「あ、私なんか緊張してきた」
神川が顔を赤らめてモジモジしだした。
「かわい~」
桜井が神川のほっぺをつんつんする。
「向こうも緊張してるんだろ?」
進藤が剣崎に話かけた。
「昨日はかなり緊張してたな。というよりお前、面白い奴だな」
剣崎が進藤にぐっと近づき進藤を怖い目で見つめた。
進藤は一歩も引かず睨み続け、鼻で笑った。
剣崎はにっこりと笑い、職員室をでた。
「ついてこい。音楽室に案内しよう」
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