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パー
パー
しばらくして音だしが始まる。まぁやっとこさと言っても間違いはないだろう。
にしても何か違和感がある。
剣崎は確かに昔以上にレベルアップしている。実際あの人がどこまで出来るかは考えが付かない。
しかし違う、違和感はそこじゃない。
少し音だしをしては俯いて寝ていた進藤が顔を上げた。
「猿、剣山」
「猿って言うな」
「なんだよ……」
千尋はガルルルと威嚇しながら。剣山は落ち込みながら進藤に返答した。
「こいつら……全員かなりの経験者だ」
「……!?」
剣山が遂に正気を取り戻し、三条の音だし風景を眺めた。そして下唇を巻いたようにして進藤へと目線を返した。
千尋自身もやっとモヤモヤの意味がわかったみたいだ。
「進藤……今この部屋に初心者いないぞ」
剣山がなんだかため息混じりに進藤に言った。
「そうだな、嫌に不思議だ」
「……たまたまじゃないのか?」
「違うね」
「「「うああああああああ!」」」
3人の後ろにはあのピンクジャージが居た。
経堂寺には神出鬼没というキャッチフレーズがお似合いか。
「経堂寺……てめぇ」
千尋が尻餅付きながらも経堂寺に怒り沸々とした。
進藤もお怒りの様子だが、説明を要求するのが先のようだ。
「あんねぇ、あいつらが集まったのは2週間前。剣崎1人だったクラブを盛り返す為に調べあげたらさぁ」
ニヤリと経堂寺が笑う。
3人は寒気を感じた。
「右から橋本。陽星中学部長、兼指揮者のクラリネッター。そして水木は墨岡中学部長、アンサンブルコンテストをクラリネット八重奏にてバスクラリネット担当。県大会金賞保持者」
「……!おい、地区は違えど両方地区抜け常連校じゃねぇか!」
剣山が冷や汗をかきながらも経堂寺に言い張る。とは言えど経堂寺はすべてを知っている。
「そして早川、地区はかなり遠くはなるが竜山中学。知っての通りマーチングが毎年全国だ。そこの部長」
もう剣山も千尋も唖然だ。進藤だけが顎に手をあてその人物達を目と耳で確認する。
「んで、あの子は金山東中学の部長。確か部員のソロコンテストのピアノ伴奏をして全国にいったらしいけど良く知らないわ……そんであの子、清水」
剣山も千尋も楽器を吹きもしない清水を細い目で見た。
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