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「(この人数だとはいえ……ここまで音に濁りが少ないとはな)」
進藤は口元を歪ませ、自分でも冷や汗をかいているのがわかった。
それでもわずかなピッチのズレを補正すべくスライドをそっと僅かに動かす。
「(ここまで演奏に緊張を持ったのは久しぶりだな)」
進藤は何かを思い出すようにすっと目をつむった。
きっと、なんだかおかしな状況になっているのは全員が感じてるのかもしれない。
そのメンバーの式をとる経堂寺は手を上に翳し、円を描くように動かせ音を止めた。
「あは……これヤバいな」
経堂寺はニンマリと笑って見せた。
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