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「うへぇ……」
と、変なため息が夕焼けぞらに消えていく。夏入りが近いため、夕方の時間帯も明るいと感じ始める、少し不思議な季節のようだ。
練習を終え(ほんと、それぞれしなきゃいけないことに尽くしたのみ)、五人は帰宅しようと部室を出た次第だ。
早々に、神川と桜井は仲良く帰っていき、男三人虚しく取り残されている。
場所はというと、さらに淋しい校門前。
「ため息とかつくなよ。嫌なことでもあるのかよ」
剣山が千尋のため息にしっかりくいついてあげる。
「いや、なんつか。わかんね」
「なんだ。不満か」
珍しく進藤が疑問系で千尋につっかかる。
「いや、そのなんだ。部活なのかな。これは」
「はぁ?おいおい。お前が作ったんだろー」
剣山が半ば笑いぎみで言った。
進藤は特に構わず、いつものようにキザにすましていた。
「楽器を吹くためだけのクラブとかさ。クラブかなって」
進藤が少し反応した。
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