催し物は催す為にあり

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「部長が何言ってんだ。しっかりしろ」 「………」 千尋はしばらく口ごもり、はっとしたように立ち上がり、進藤の胸元を掴んだ。 「こら猫!誰が部ち…」 「お前が作りたくて作ったんだろうが。きっちり責任とるのは誰だ」 「だからって、そんな全部俺のせいみたいな言い方しやがって……」 「よせ、千尋。進藤の言うことは正しい。」 千尋は悲しい顔で剣山の顔を見た。剣山は真剣な顔で千尋を見つめていた。 「……すまん」 千尋が謝った。胸元を掴んだ手もすっと下ろした。 すると進藤はネクタイを片手で位置調整するように仕向け、千尋に背を向けた。 「新井千尋。お前がどういう人間かはわかった。」 「……なんだよ」 千尋はまた座り込んでは遠くを見た。 「とてつもなく馬鹿。といいたいが、今回の合同演奏でもお前自信感じただろう。楽器の為第一にクラブをしていないってな」 千尋は不意を付かれたように目を丸めた。 「俺も部長だった身だぞ。それ踏まえて新たに言う。少なくとも俺は気に入らん場所では吹かん。」 進藤はそれだけ言うとどこかにさって行った。 「……おいおい」 去って行く進藤を見ながら剣山は笑った。 「良かったな、千尋。一番頭堅い奴動かせたぞ」 「……ううううう」 「千尋?」 千尋は暫く下を向いたまま動かなかった。 剣山はびっくりしたが、すぐに察してあげることができた。
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