催し物は催す為にあり

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2人は黙々と歩き続ける中、耐えれなくなった早川が口を開いた。 「あの、ほんとにスタジオあるんですか?」 「あぁ、まぁ経堂寺が知り合いの所らしいが。頼りにはしてるからな」 進藤はふっと笑った。早川も安心したのか笑った。 「えと、進藤さんも一年生なんですよね?」 「あー、まぁ」 「見えないです!とっても大人っぽいですね」 「そうか?さほどでもないと思うが」 話に何とか乗ろうと努力している様子の進藤。頬を手でかいた。彼なりに何かしら交流を持つことを意識しているように見えてらしくない。 下手くそなのは置いといて―― 「早川だったか」 「はい」 「その……身長いくつなんだ?」 早川の頭を指差した。早川は唖然とした瞬間クスクス笑いだした。 「152っす。小さいでしょ?」 「まぁ。小さい」 「進藤さんっておもしろい人なんですね」 「……」 進藤は下唇を巻くように、変な感覚を押し殺そうとした。 ―― 俺が面白いだと? 普段から無駄を無くすよう努めてるはずなのに…人を喜ばせる面白さなんてもっての他………―― 進藤は相変わらず頭が堅い。 「なぁ、なんて喋ってんだろ」 「知るかよ!」 千尋たちはコソコソと付いてきていた。本当にお決まりだ。 「にしても三条高校の奴とデートとはな。しかも楽器持ちデート。もうご飯おかずにしてご飯食え」 「馬鹿が、進藤だぞ。曲を仕上げるためだろうが。」 剣山が当たり前のフォローを入れた。
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