433人が本棚に入れています
本棚に追加
「ええええええ!ちーちゃんと剣山が!?嘘でしょ!?」
「ほんとだってば……」
週末。千尋と林は決まったように会っていた。今日は千尋の家に林を呼ぶというカップルお決まりの展開を繰り広げている。
「嘘でしょ」
「隠せねぇよ。さっきも言ったけど、お前が黙ってた中学の名前とかそんなん全部俺が知ってんだから間違いないって!」
千尋は携帯を開け、いつとったのか知らない剣山の変顔の写真を林に見せた。
「ぶっ……」
みっともない顔に林はコメント以前に笑う。
「馬鹿、顔はいいから間違いなく剣山だっ……ぶっ……」
千尋も見て自滅した。
恐ろしく変顔なんだろう。
「確かに……びっくりだわ。ちょっと待ってね」
林は携帯を開け、おもむろに電話を掛け始めた。
「あ、もしもし?ちー?」
「……雪?え?懐かしいんだけど!」
「ほんと!元気してた!?」
「してたしてた!うわぁ、連絡ぐらいもっとよこしなさいよー!」
話主は間違いなく神川だ。千尋はどうしていいのやらわからない。
「あのさ、うちの馬鹿が」
神川「あぁ、大丈夫。相変わらず馬鹿だから」
「はは……良かった。変なことしてない?」
神川「変な事だらけよ……。その馬鹿と今剣山と他の子たち含めて5人で吹奏楽してるわ」
「聞いた聞いた!いやぁ、まさかあんたと剣山がまた近づくなんてね」
神川「うるさいわね、無関係よっ!第一あんたが……」
「わーかったわーかった!ごめんごめん」
神川「ほんとに雪ときたらー」
会話が弾んでいるようだ。お互い笑いあってる様子だが、当人から聞いた「大嫌い」に矛盾が生じている。千尋は少ない頭なりに解釈し始めた。
「でもさ、2人とももう吹奏楽やらないっていってた代表格だったじゃん?また始めるわけ?」
神川「まぁね……人間不信の剣山もその馬鹿のおかげですっかり変わっちゃって。私もその馬鹿に引っ張られてここにいるわ~」
「なるほど」
林はニンマリしながら千尋を見た。千尋は困った顔をしながらクチパクで早く教えろと内容を急かした。
「こいつ、凄いでしょ」
神川「……そうね。まぁ、腹立つからノーコメで」
「さすがちーちゃん。わかってる」
神川「余計よ!で、そこにいるわけ?」
「わかるの?」
神川「……オーラ?」
また2人は大きく笑った。
最初のコメントを投稿しよう!