曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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「ぶ、部員あつまらんな」 千尋が嘆く。 ここはいつもの音楽準備室。言わばおなじみの楽器庫。音楽室の隣にあり、楽器が敷き詰められていることに加え、隅に大きな黒板と大きな机。それを囲む数個の椅子が会議室を沸騰させる。 ここに5人が囲むことはもはや最近では“定例”である。 いまは千尋が勧誘用のビラを机に起き、うなだれている。 「しゃあねえだろ。5人集まっただけでも奇跡だよ」 剣山が机にほおずえをついた。 「それは言えてる~。勧誘してもみんな反応悪かったもんねっ」 桜井も笑ってこそはいるが、困った顔に近い。半ば全員諦めムードだ。 「暫くは自分たちの練習に力をいれたらどうだ。ただでさえ下手くそなのに」 進藤はそういうと千尋を見た。 「おいこら猫てめぇ。喧嘩うってるな……」 「生憎今売れるようなものを持ってなくてな。あ、猿フードならあるぞ」 「ねぇだろんなもんがぁぁぁぁぁあああ!」 千尋が机に乗り出し、チラシの塊を進藤に投げつけた。 進藤は華麗に避けたが、その奥で書類を整理していた神川に見事すべてがヒットした。 「……」 「……」 まぁ、紙なので痛みはないが。神川は凄い形相で千尋を睨んでいる。 「カッターかナイフかおまかせ。どれがいい?」 「お、おまかせだと!?」 剣山が反応する。別になんでもいい。 「あ、おまかせで」 「チェーンソーよ」 千尋は土下座して謝った。
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