曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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「とにかく。進藤の言うとおり自分たちの練習にしばらくは力を入れた方が良さそうね」 神川が黒板の前に立って4人に言った。 「さんせーい!」 桜井が一番に手を挙げた。まぁ挙げるシステムは無い。 「うちの曲と合同の曲と。さらには個人チームの曲があるからなぁ。」 剣山は楽譜を眺めて言った。 「言って3曲だ。この期間あれば仕上がる」 進藤は楽譜をポンと机に放った。 「問題はこいつなのよ。私たち5人用の楽譜」 神川が黒板に書かれた字を指差した。 “メイクハーマイン” 大きく言えばビッグバンド系ジャズ曲だ。ジーンズのCMにも昔使われたりと薄く知られた曲だ。 「ほんと、とことん吹奏楽から引き離してくれるぜ」 剣山がため息気味に出した楽譜は “シングシングシング” 吹奏楽では同じみのジャズ風潮な曲だ。これは合同で演奏することになっている。 「とりあえず。しっかり練習しておきましょ」 各々緩い返事と共に動きだした。 千尋はそれを見て少し微笑んだ。
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