曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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「やってるなー」 「ですね」 剣崎が遠くで追いかけっこする千尋らを見てクラリネット橋本と笑っていた。 いや、橋本は笑っているのか分からないくらい暗いオーラが漂っている。 「お、部長!橋本!」 「なんだ、水木か」 立ち尽くす2人に水木が合流した。 「おいおい橋本ー。運動するのにその前髪はないだろ」 水木は自分の手首にはめていた自分の黒ゴムを取り、橋本の前髪を上げようとする。 「おい。またするのか」 剣崎が不安そうな顔で水木を見る。 「いいんすよ。仕切るときとか指揮するときは昔から自分で前髪上げてたんだから」 「い、いい、いや、あれは仕方なくで……あやさん、やめっ…」 必死に抵抗するも水木に後ろから捕まえられてあえなく前髪を握られる橋本。 がっとあげて橋本をちょんまげにしてしまった。そしてメガネもとる。 「伊達メガネかけてんじゃないよー」 そういって橋本の伊達メガネを水木が冗談でつける。そして水木は走り去ってしまった。 橋本は校舎の方を向いたままだった。 「おい、橋本」 剣崎が心配そうに声を掛けた。 「はっはっはっは!」 橋本は笑い出し、運動場を向いた。 きれいに前髪が良く見るちょんまげになっているのだが、目が大きくパッチリしていてとても愛くるしい。別人だ。眉も細くて力強い。まさに健康少女だ。 ニヤリと笑い、不健康そうな長袖長ズボンを捲りだす。 「(や、やはりいつみても愛くるしい)」 剣崎がにやっとする。 「さぁさぁさぁ!いっくよぉぉ!」 笑顔で星をばらまくかのように元気ハツラツで走り出した。 本領発揮よ(水木談) 橋本南の中のオカルト橋本ではなく、全力ガール南ちゃんだ(経堂寺談) 変態だらけだな(剣崎談)
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