曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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かれこれ20分を回ったとき、ホイッスルが鳴った。 息切れの激しい11人は経堂寺の下に集まってきた。 「いやぁ、肺が鍛えられましたね」 「いつか恨み倒す」 進藤がボソッと言った。 「てな訳で。鬼ごっこ結果発表!鬼になりすぎちゃったワーストスリーから発表です」 完全にエンターテイメント形式だ。鬼ごっこを舐めてる。 千尋は地味に砂を経堂寺の靴に乗せていた。 「三位!8回!進藤光」 「ぷっはー!どマヌケ!猫!」 「猿……後でコロス」 進藤が恥ずかしそうな顔をして歯を食いしばっている。 原因は4位に7回でいる橋本のせいだ。わざと鬼になって進藤ばかりタッチしに行ったせいだ。 「2位!9回!清水大介」 「なぬーん!」 「バカが。後半バテてたからだろが」 奈神に寂しく突っ込まれる。 「1位!11回!馬鹿!新井千尋」 「な、なにぃぃぃ!」 「猿には知恵がないからな」 「進藤、後でコロス」 「まぁ、進藤が鬼なら千尋に毎回矛先いってたからな」 剣山がやれやれとした顔で言ったが 「鬼に一度もならなかった影薄くんは剣山です」 「ねぇ。それ言う必要あるの?ねぇ」 「あるんじゃない?」 神川の一言で剣山は泣きながら逃げ出した。 「んじゃドベの千尋はグランド10周。はい、みんな音楽室行くよー」 「ちょ、絶対経堂寺の鬱憤晴らしだろ!」 千尋が砂を経堂寺に投げる。 「12周」 経堂寺が振り返ってそう言った。 千尋は泣きながら走り出した。
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