曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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千尋含め全員が音楽室に来ては楽器を出し始めたころ、経堂寺から各アンサンブルチームでの練習をするようにと午前の練習日程を伝えた。 場所は三条が案内するクラスルームでらしい。また吹奏楽らしい選択だ。 「猿。狼。さっさと立て」 千尋はバテて倒れ、剣山は影でイジイジとしている。 「し、進藤くん……」 「ん、あぁ、早川か」 後ろにいた早川に気づき、進藤は早川の方を向いた。 「あ、おはようございますっ」 早川はぺこりと頭を下げた。 「あぁ。おはよう」 「た、大変でしたね。鬼ごっこ」 「経堂寺のクソやろうがいなけりゃあんなことには」 「聞こえてるわよ」 黒板前から経堂寺が進藤をにらんでいる。進藤はしまったとは思ったが顔に出さずに早川に「行こうか」といい早川はクスクス笑って「はい!」と言った。 2人はそのまま音楽室を出て行った。 「早川のやつー。何をあんなキザ男にデレデレしてんだよ」 進藤達が出て行って間もなく清水が呟く。千尋はサッサと立ち上がり「だよな。絶対そうだよな」と清水に同意していた。清水とキザ男撃退同盟を堅く結んだ。 「あ、あたしもそれ入るー!」 桜井も意味分からず加盟。 3人で肩を組み出て行った。 「馬鹿ね」 それに続き神川、水木、橋本(元に戻った)も音楽室を出て行った。 「僕らはここ使っていいんですよね?」 奈神が剣崎に音楽室の床を指すように聞いた。 「あぁ。で、剣山とやら。早くこっちこい」 「…………はい」 「重傷だな」 奈神は剣山を心配してはいるが半分笑っている。剣崎も同じだ。
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