曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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「こんなもんか。前にやったおかげで一通りは完成だな」 進藤の言葉で自然と休憩に入ったトロンボーンデュオの2人だ。 「はいっ。ほんと進藤くんとの練習は為になりすぎます!」 早川は両手を胸にあて、進藤に尊敬の眼差しだ。進藤くんと呼ぶのも変に定着している。 「いや、こちらこそ。さすが早川ってとこだな」 進藤は口に手を当て、ふっと笑った。 またまたー、と、進藤が含まれているとは思えない暖かい空気が流れる。 「そ、そうだ。人形とか、すきか?」 進藤がカタコトに聞く。 「え?……………あ、はい!」 早川も突然の質問で焦っているようだ。早川は自らのトロンボーンケースを持ってきては「じゃーん!……です!」と言ってケースを見せてきた。 そこには3体程かわいらしい人形がついていた。 進藤は「ほぅ」といいマジマジと人形をみつめた。 「ん。な、なら」 と言って進藤はある人形をカバンから取り出した。 前にゲームセンターでとった人形だ。 「わぁ、可愛いですね!進藤くん意外とこんなの好きなんですか?」 「ち、違う!その、いらないからやる」 やる。という表現が進藤らしい。 「え!?いいんですか!?」 「い、いい」 進藤は早川の手にポンとそれを渡した。 早川は無言でそれをケースにつけている。進藤はそれをマジマジとみていた。 「じゃーん!……です」 人形が4個に増えた。 「ありがとうございます。大事にしますね」 早川は笑顔でお礼を言った。進藤はただ、ぎこちなく「おう」と返した。 剣山が言うことが綺麗に行き過ぎて剣山を尊敬する進藤がいた。成長しているのかなんなのかは分からない。 進藤、夢咲高校に好きな人いなかったっけ?(神川談)
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