曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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「進藤先生から誉められるなんて、光栄ですよー」 神川は冗談混じりに照れ臭そうに返した。 「ふん。誉めてはない」 「なにそれー」 神川がむすっとしたところで桜井登場。 「あ、さては二人で秘密の作戦会議だなー?」 桜井が進藤と神川を指差してニシシと笑う。二人とも口元が緩んだ。 「違うわよ、おバカさん」 「お前も頭の中が幸せなんだな」 進藤が目を閉じてフフンと笑うと神川もクスクス笑った。 「もーー!なによーー!それ!」 桜井がプンスカと起こり始めた。 さらにそこへ剣山が顔を出した。 「おい進藤ー!お前チェスできるかー?」 進藤はハッとした顔で「できる」と伝えた。 「まじか!いや、たまたま引き出しにチェスのセットが入っててよ、やったら千尋がまた強いんだよ」 「なんだと。それは頂けないな」 「一捻りたのむ」 「無論。叩き潰してやる」 進藤はニヤリと笑い準備室へと向かい、剣山も「頼むわ先生!」とノリノリ。 「あれ将棋みたいだよねー」 桜井が神川を覗き込むように言った。 「まぁ確かにねー。私もできるわよ?」 「え!ちーちゃんすごい!」 「ふふん!私も参戦しちゃおっかなー」 「みたーい!行こう行こう!」 二人は手を繋いで準備室へとかけていった。 時刻は五時にさしかかる。
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