曲者はいつになっても曲者。彼らの前に現るる

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「……鬼。鬼の桐山……」 神川は驚きと同時に顔をひきつらせる。 「っ!まじかよ……」 その男は勿論この2人の目線に気づき「おー、おー」と近付いてきた。 杉山率いる永水高校サックスパート 桐山玲【キリヤマレイ】だ。 特徴はさっきの通りだが。何より切れ目である。猫のようと言えばそうなのだが、俗にトカゲと呼ばれている。 元、剣山や神川の居た鷹見中学の部長だ。 「あららぁ。まだ吹奏楽してたんだなぁ。特にお前」 桐山は後退り気味の剣山の胸に人差し指を突き立てた。 「あん時は散々暴れてくれちゃってホントさ。よくノコノコと此処に居るもんだ」 「…………っ」 剣山は歯を食いしばるようにして目線を落とした。神川も口出しできないようだ。 「ま、精々下手な演奏して笑われないこったな。三流団体さんよ」 桐山は2人を見た。そして、剣山の胸に当てた人差し指をそのままツンと押す。剣山はその場に尻餅をついた。神川はすぐに駆け寄り庇うようにした。 桐山はキシシシと甲高く笑い、その場を後に しようとしたが 「おいこら。鳥頭」 後ろから聞こえるその悪口に剣山と神川がゾクッとした。刃向かう事がどれだけの事か察知する癖があるんだろう。 桐山はニタッと笑いながら振り向いた。背中に紙くずでも投げられ、犯人を楽しむように探しているようにも見える。 まぁ、犯人はずかずかと前に出た。 「誰が三流団体だコラ」 清水大介だ。 また厄介な奴だ。 2人は冷や汗しかでなかった。
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