最強無敵の吹奏楽コーチ

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朝8時半。昨日が土曜日で夢咲に出掛け、今日が次の日。日曜日だ。 9時から練習と決めても8時半にはすでに全員が準備室の定位置に座って喋っている。休日練習の日課になりつつある。 「進藤、昨日はどうだったんよ」 剣山が机に頬杖つくようにして進藤に聞いた。 「あぁ、順調だ。昨日はピッチのズレを調整して……そうだ、ワンフレーズを少しいじったな」 進藤は楽譜を見ながら手を顎に当てる。 「(多分剣山は早川さんの事聞いたと思うんだけどなー)」 神川は少し笑いながら剣山を見る。昨日の今日だ。剣山が心配な訳である。 しかしながら元気だ。彼自身もここを唯一のホームと感じているからだろう。 桜井は1人でチェスのルールを覚えている。なにげに真剣だ。 「おい」 突然進藤が話を切り出した。 「早く練習しよう」 いきなりどうしたのか。 「なんだ猫。トイレか」 千尋が無駄に突っ込む。進藤は箱ティッシュを千尋に投げて撃沈した。 「昨日見た夢咲やら永水やらを見て変に圧を感じた。経験者と言えど、この指導環境じゃ成長も望めん。少しエンジンかけていかないか」 進藤が言い終わったすぐに千尋が楽器を組み立て始めた。 「やだけど進藤に賛成」 千尋はそう言って笑った。千尋も千尋で杉山や稲原にまた離された感覚を感じていたからだろう。 「そうよー。下手くそは練習よ~」 「そうだな。俺もやらなきゃ」 剣山は楽器を用意し始める。 「待て」 進藤が剣山を止めるが、剣山は?マークを頭に浮かべている。 「お前今誰に返事したんだ?」 「あ、た、し」 準備室の机の椅子にいつの間にか誰か座っている。
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