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午前中の練習を終え、昼食を迎える一条吹奏楽。5人は常に解放されている屋上へと行くのが恒例だ。
屋上は高いネットの壁で方位されており、安全性は抜群だ。ベンチやらテーブルまである、まさに憩いの場。学校案内にも載るくらいだ。
5人は円になって座り、昼食を楽しむ。
すっかり何かのグループのようになった5人。堅物の進藤ですら渋々なのか、ついて来ている次第だ。
「なんだったのかしらね」
神川が口を開く。
「あぁ、北条さん?」
剣山が聞くように神川に返した。桜井はイチゴオレの紙パックを押して、ストローから液体がこぼれるかこぼれないかの瀬戸際を楽しんでいる。
その横でハラハラした千尋が見ている。
「何故追い出してしまったのか」
進藤がボソッと言う。確かに何故追い出したのか。
「し、しーらない」
「俺もしらん」
三人は沈黙の中、口を動かす。
「まぁ、何しに来たかもわからんからな。経堂寺に突き出して正解だ」
進藤が話をすすめる。横でイチゴオレか爆発してしまったがお構いなし。
「が、ちょっと帰りが遅くないか」
「まぁね」
神川がそう言うとお弁当へとまた箸を進める。
「でも上手かったなぁ」
千尋がそう言うと全員が賛同した。桜井はスカートがイチゴオレでびしょびしょだ。強く押しすぎたらしい。
「プロ楽団員とか、確かに分からなくもない」
進藤のその言葉にこの話題は幕を閉じた。
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