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「てぇなぁわぁけぇで」
木刀を持った北条杏奈が前にいる。
ここは音楽室、午後練習。合奏の形態で全員が座っているが顔面蒼白。経堂寺は嬉しそうに北条の横に立っていた。
「今日からこの私が」
「一条吹奏楽の特別指導者だぁぁ!」
「「「「「(してやられたぁぁぁぁあああ!!)」」」」」
全員は地獄へ落ちたようなリアクション。経堂寺は如何にも楽しそうだ。
「ま、そゆこと!ちゃんと金銭面でも契約したから!んじゃ杏奈ちゃんお願いね~」
「もちろんですよ!任せてくださいっ」
経堂寺はそういうと出て行った。絶対自由時間の確保が出来た故の幸福感であろう。全員がそう察せる部活がここにある。
「じゃ、改めて。私は北条杏奈。ここの卒業生。事情や現状はたっぷり聞いたわー。ま、演奏会に向けて、頑張って楽しんで血流して学んで上手くなっていきましょうね」
「おい進藤、いま絶対さ……」
剣山が進藤に耳打ちする。
「あぁ、血が流れるらしいな」
進藤は顔は無表情だが手がガタガタ震えている。
「とりあえず、あんたらだけの曲から行くわよ」
北条は指揮棒を構えた。なんたる厳格。全員はここからはジョーク抜きで全力で立ち向かった。
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