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何故か合奏は五時間続いた。全員死にかけている。千尋に至っては練習用リードを2日分使ったとか。
さながら、全員は途中から北条の実力と威厳を感じ、半ば従うよう指示にも食いついた。
“成長していると実感を得た”
これがそうさせる一番の要因だ。昨日のこともあり、上手くなる為の糧のなかった吹奏楽団に舞い込んだ突然の最強指導者。この他に懇願するべき場所はないと全員が思えたこともあるだろう。
「「「「「ありがとうございました」」」」」
「ん。よう頑張った」
北条は座ってお茶を飲み始めた。全員はぐったりしている。
「何だ、本当にやるじゃん。お前ら」
「は、はぁ……」
もはや活力の無い千尋は精気のない返事をする。
「FMFでるんだろ?じゃあとらなきゃなぁ……最優秀賞」
「!?」
全員は復活したように起き上がった。
「参加した団体。アンサンブルやら合奏やら形態は関係ない。大ステージにて演奏された団体の中から最優秀賞が選ばれんの。知らないの?」
全員は顔を合わせた。
なんたるチャンス。
「こいつで、一発かましてやろうぜ……」
「いいわね。腕が疼くわ」
「やっほーい!最優秀賞だー!」
「おっし!やる気でてきた!」
「叩き潰す」
全員が合致した。
なんか強情な楽団ね(経堂寺談)
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