吹奏楽 いかがですか ?

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「帰れ帰れ」 「頼みますっ!」 千尋はとりあえずジャージ先生に顧問をお願いをした。 もちろん拒否られた。 「1人でやりなよー」 だるそうに冗談を言う先生。 「1人って…………いや、顧問がいないとクラブつくれないんで…………」 千尋は「1人」と言うワードに若干ダメージを受けたがまだまだ頼みこむ。 「へー、そんなに?」 「いや、こんなに」 千尋が手で精一杯の大きさを表す。 「そんだけ?」 首を傾げる先生。 「むむ………」 さすがに千尋も行き詰まる。 すると先生が人差し指を千尋に向けて真剣に睨む。 「あんたにとっての吹奏楽とはいかなるものか?」 「………なんて言ったらいいか…わかんないです。」 千尋は完全に負けた感じになった 「そんなもんでいいんよ。気持ちは」 先生が食べ終えた弁当を布に包む。どうやら手作りらしい…… 「よし。」 「へ?」 「お前が吹奏楽部をつくれ」 千尋はその言葉に一瞬だけ硬直し、直ぐに食いついた。 「ど………どういう意味ですか?」 千尋が期待するように聞き込む。 「だから…あたしが顧問やったげる」 (よし来た… 高校生活吹奏楽、ここにあり!) 「ただし…………吹奏楽部は今はないわけ。あんたがつくるの。だからせめて部員が欲しいわよね?」 先生がわざとらしく包んだ弁当で千尋をつつく。 「あんたが部員を5人以上に増やすこと。そしたらあたしが顧問やったげる。」 「ご……5人も……?」 吹奏楽がないこの高校で自分抜いて4人集めるということ。 吹奏楽がもともとないこの学校では、確率的に厳しい。 だが 確率ができただけありがたい。 「でも……なんで」 先生が千尋の質問にため息つく。 「あんた1人の吹奏楽部はいやよ………あと、あんたがどこまでやれるか…ダケ。 そうだ、ついでに期間つけて10日!10日以内!」 千尋は最後の言葉に唖然とした。
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