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練習後、音楽室にて
楽器を片付けた五人は帰る準備を整えながらあることをしていた。最優秀賞というものがあることでいっそう目先の目標がたった一条。そのやる気は凄まじかった。
「どう?」
「いいんじゃないか?」
机の上には大きな紙。マジックで「最優秀賞とったる」と何故か訛り言葉で書かれている。
「うし。準備室貼るぞ」
五人はドタバタと紙をもって走っていった。
「元気すねー」
椅子に座りながらお茶を飲む北条。その横に相変わらずジャージの経堂寺が立っている。
「だろ。手に負えん。だから拷問部屋を――」
「ま、まぁそのなんていうか、出来る限りのことは尽くしますんで」
「ん?まぁ杏奈ちゃんなら大丈夫大丈夫!今日初対面だけどね、さっきも合奏見ててすごいと思ったわぁ」
「いえ、そんな」
「あの子ら、しっかり成長感じたのか食い付いてきたっしょ?」
「確かに」
北条はお茶のボトルを閉めながら笑った。
「助かるよ。ちょっとお願いね」
「はい」
北条は立ち上がった。
「あいつらに夢見させてやりたいんよねー」
「意外に優しいんですね」
北条は皮肉気味に笑う。経堂寺はオイオイと言った顔をした。
「後で経堂寺様々いわせんだよー」
「言う言葉もございません」
苦笑いを返す北条。
「ま、頼んだわよ」
「はい。元吹奏楽コンクール金賞校の部長の頼みですもの」
北条はニッコリと笑う。どことなく皮肉だろうか。
「言うんじゃねぇぞー」
経堂寺は恥ずかしそうにしながら五人の後を追うように準備室へと向かった。
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