今年の夏も気温と楽器が熱い

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――――午前 7:30 「(思いの外早く来てしまった)」 コンクール地区大会の会場へと最初についたのは我等が進藤である。しかし、開場は8:00、さらには一番の団体が8:30とあまりにも早く着きすぎである。 一応集合は8:00。開場に合わせた妥当な時間であるが、進藤はその30分も前に到着したのだ。 半袖の黒い上着から見える長く白い手には時計。いくら見ようと30分前。進藤はついにはため息をついた。 「(何故にここまで早く来てしまったか)」 ちなみに集合場所はホールのロビー側入口の前。もはや開いてすらない。朝とはいえどなかなかの暑さだ。 「……よう、さすが生真面目。早いな」 「……奈神か」 進藤の不意を着くように現れたのは一条の奈神大雅。いつも見たくキッチリした制服にインテリを醸し出すメガネ。今日は朝からヘッドホンで音楽を聞いていたのか、でかでかとしたヘッドホンを首にかけている。 「早いな、進藤」 「お前に言えたことか。それになんだそのヘッドホンは」 「あーこれ?いいっしょ?」 別段良いとは思わない。が、何だかラッパーみたいに見えて仕方ない。 「音楽聞いてたのか」 「あぁ、今日は“アルメニアンダンス”だね。朝から乗ってきた」 「(こいつもアホなのか)」 進藤は味方を失った気分になる。朝からアルメニアンダンスでテンション上げる高校生がいるかと。 「で、進藤よ。最近うちの早川とさ、な、仲いいらしいじゃん?」 「早川?そりゃデュオで連れ出す機会はあるから多少仲良くさせて貰ってはいるがな」 「ほ、ほー」 進藤は大して気にもかけていなかったが、奈神の方は慎重に言葉を選ぶ姿勢になっている。奈神は唇を噛むようにしてはメガネをクイッと上にあげた。
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