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「――――2人で遊園地にいったそうだな」
ギク
「あぁ、早川のな、奴がな、進藤君行きたいですー、とか言うからな(何でコイツが知ってんだ。早川の奴、他言無用だとあれだけ)」
「へぇ、あんたも中々やることやるじゃん(この野郎、あの早川とデートすらしたことないってのにこの生真面目野郎……遊園地だと)」
平常を装っている奈神。しかしその我慢の臨界点はそれほど遠くなくなっていた。すると、さすがにそうはいかない状況になってしまった。
「あ、進藤君、奈神君、おはよう!」
「(は、早川……)おはよう」
「(くぉ、早川……なんでこの面子が)あぁ、おはよう早川」
進藤はとりあえず早川の背中を手で押しては奈神から遠ざける。そしてヒソヒソ話すように早川に言った。
「おい早川。なんであいつ遊園地のこと知ってんだおい」
「わわわわわわわ、その、あの、一条の人達に囲まれて吐かされました」
進藤は多少は予想していたようだが、あまりに下手に動きすぎたと後悔しはじめる。
ようするにこうだ。早川との練習中、下手に早川の服にお茶をこぼした進藤。「すまない、どう詫びれば」と言ったところ早川からは「あの、遊園地つれてって下さい」とのこと。そして他言無用を条件に出掛けたのだ。
「(進藤のやつ、ヒソヒソと……まさか俺の早川への気持ちに気づいたのか!それで悪いことでも吹き込まれて……)」
奈神の焦りはMAXを迎える。そこへ現るるは清水。場違い野郎の降臨。
――「おう清水、大好きな早川さんが進藤に取られちゃったのか!はっはっは」
4人の場に沈黙が流れた。
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