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「(あ、この馬鹿いいやがった………)」
奈神は真っ白になった。
「(あ、早川の前でこのこと駄目だっけ……)」
今更あせる清水。
「(なるほどな。挙動に合点がいった)」
顎に手をおく進藤。
「(あわわわわわわ)」
慌てる早川。
「その、ごめんなさいっ!奈神くん!」
「ぐふっ」
奈神は日差しで暑くなった会場前の床にひざまずいた。まさか今日に決着がつくなんて。まさかこんな無様に終わるなんて。奈神はどうにもひざまずいたまま動かなかった。
時刻は7:50を回った。
しかし奈神は力を振り絞っては首をあげた。
「早川ぁ」
「は、はい!」
奈神の顔はもはやグロッキー。やられかけのボクシング選手のようだ。そして奈神は恐ろしい言葉を放つ。
「理由はなんだ?」
自分を苦しめに走ったのだ。知らないままが良かったランキングなら上位にあがるはずのこのシチュエーション。奈神は逆走し始める。
「いや、その、やっぱり友達のままのがいいかなって」
「(今日奈神死ぬな、これ)」
清水が可哀相な目で奈神を見ている。チラリと進藤と目が合うが、進藤も珍しく清水に賛同。目だけで意志疎通し合った。
「ちげぇだろ早川。本当の理由ゆってくれなきゃ俺がやりきれねぇよ」
「!!」
早川の顔に焦りが走った。そして清水の顔にも。
「奈神お前!それはいくらなんでも」
「黙れ猿!元はといえばお前がバラすからだろーが!」
「うるせぇ!返す言葉も御座いません!」
「(こいつどさくさに紛れて自分の罪認めやがったーーー)」
進藤は清水の潔さに笑いをこらえる。妙に面白い展開だと進藤は一歩下がってはこのイベントを鑑賞しようとした。
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