今年の夏も気温と楽器が熱い

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「そんなの、ないってば」 早川は本当に焦った顔をしている。何か秘密でも握られているのかと進藤は考察した。 「あるだろ。わかってんだ、お前の行動とかみてたらよぉ」 「ストーカー発言きました」 「清水てめぇ、清水の舞台から突き落とすぞ」 「はい」 清水は潔く引き下がった。 「早川頼むから。俺に後悔だけはさせないでくれ」 「……でも……」 「早川。早川」 奈神の異常なまでの懇願。進藤はよっぽど切り捨てられたいのかと奈神に思ったが、進藤の観察眼が無駄に働いた。 「(あいつ他に目的があるな)」 と踏んだのだ。見たところ早川がそうなってはまずいと感じてる為に、早川にマイナスを与えたい――?いや、それじゃあ本末転倒だ。 進藤は中々結果に至らず悩んだ。 「(早川がこの場で告ればこの生真面目進藤は切り捨てる……ならばこのオレだけが惨めな思いをしなくてすむ……)早川!」 なんとも性根から素晴らしく酷い奈神。グロッキーな人間は何にも変えられない大事な物も捨てられるのか。 「……わかった」 早川は顔を真っ赤にして目をギュッと瞑った。 「(こいつ!)」 清水は必死に早川に駄目サイン。しかし奈神に足を殴られ「きゃうん」という気持ち悪い言葉を発し没した。
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