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「そんなの、ないってば」
早川は本当に焦った顔をしている。何か秘密でも握られているのかと進藤は考察した。
「あるだろ。わかってんだ、お前の行動とかみてたらよぉ」
「ストーカー発言きました」
「清水てめぇ、清水の舞台から突き落とすぞ」
「はい」
清水は潔く引き下がった。
「早川頼むから。俺に後悔だけはさせないでくれ」
「……でも……」
「早川。早川」
奈神の異常なまでの懇願。進藤はよっぽど切り捨てられたいのかと奈神に思ったが、進藤の観察眼が無駄に働いた。
「(あいつ他に目的があるな)」
と踏んだのだ。見たところ早川がそうなってはまずいと感じてる為に、早川にマイナスを与えたい――?いや、それじゃあ本末転倒だ。
進藤は中々結果に至らず悩んだ。
「(早川がこの場で告ればこの生真面目進藤は切り捨てる……ならばこのオレだけが惨めな思いをしなくてすむ……)早川!」
なんとも性根から素晴らしく酷い奈神。グロッキーな人間は何にも変えられない大事な物も捨てられるのか。
「……わかった」
早川は顔を真っ赤にして目をギュッと瞑った。
「(こいつ!)」
清水は必死に早川に駄目サイン。しかし奈神に足を殴られ「きゃうん」という気持ち悪い言葉を発し没した。
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