今年の夏も気温と楽器が熱い

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「ごめんね。私は……進藤君が好きだから」 早川はまた顔を地面に向けた。多分、色々と割り切ったのだろう。 「(お前。つか奈神もまた惨いな)」 清水は足を押さえながら横たわっている。奈神に至ってはしてやったという顔を早川に向けている。味方ながら恐ろしい奴だ。 進藤はというとポカーンとしている。 「俺か?」 ついつい口走ってしまったが、早川は無言で頷いた。 早川が俺を? あまり考えた事もなかった。確かに他の人間に比べれば2人でいる時間は多少多いかもしれないが、そんなことになっているとはな。 と、冷静に放つ。 断るのか。やはりこういう物は今一良く分からない。俺らしい妥当な答えならば断―――――――!! 進藤はただならぬ邪気を感じた。その先には奈神。恐ろしい顔でこちらを見ている。どうやら何か待っているような素振りかソワソワしているな。 妥当な答え――断るのを待っているのか。好きな人が好きな人に降られてはヤられたクッションを和らげるつもりか。 それでは興がないな。 「早川。つまりはどういうことだ」 進藤は早川に酷な質問をする。 「だからその、良かったらその、だから、お付き合いしたいなって」 お付き合い。進藤は少し体が熱くなるのを感じた。付き合うと言えば俗にいう彼氏彼女状態じゃあないか。なかなかどうして意識するだけでも恥ずかしいものだ。 確かに早川には愛嬌がある。下手に周っては気遣いもできるし頭も悪くない。女性にしては笑顔はあるし、何より物事に真面目に取り――いや、俺は―― 「付き合うってなんだ。早川」 進藤は早川に聞いた。早川は少しおどけたが、「お互い興味があって惹かれあった結果です」と答えた。 「早川。そのなんだ。本当に俺に興味があるのか?」
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