今年の夏も気温と楽器が熱い

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「あります!ありますありますあります!」 早川は顔を真っ赤にして泣きそうな顔で進藤の間近まで接近した。進藤は呆気にとられる。 「頭いいですし、冷静な方だと思ったらたまに可愛く笑いますし、冷たい表情ばかりの方かと思えば私に凄い優しくして下さりますし、メールだって、私が送ったら毎日私が寝ちゃうまで付き合ってくれますし、何より、何よりふとした優しさが大好きですー!!」 早川は叫ぶようにいい放った。周りのコンクールの生徒も振り向いてしまうくらいに。さすがに何事かとなってしまう。 その後はハァハァと息を整えていた。 奈神と清水はもう並んで床に座り込みっぱなしだった。 「お前が彼女になったらなんかあるのか」 進藤らしい場違いな冷静たる質問だ。 「え、何か――えと、毎日のように会いたいですし、やっぱり進藤君の為に何かしてあげたいですし、色々な所に遊びに行ったり、2人で楽器吹いたり」 なんだか必死さの伝わるアピールだった。進藤はそれを淡々とした表情で聞いていた。 そして突然、早川の頭を進藤は掴んだ。 早川を始め、奈神も清水も何事かと進藤の目を見た。 「今とそんなに変わらないと思うけどな」 「!――――そう、なんですかね」 早川はしまったと思ったように表情が暗転した。まさにスイッチオフした電球だ。が 「いいんじゃないか、別に付き合っても」 「――え゛?」 早川は涙目で進藤を見ていた。
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