今年の夏も気温と楽器が熱い

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「彼女ってのはやっぱり自分が魅力を感じて他の人よりいい人を選ぶもんだろ」 進藤はフッとガラス張りの会場の扉を見た。せわしなく初めの団体達が用意しているのが分かる。 「いいと思うよ、お前は。付き合うとかいう制度は分からん。あの馬鹿千尋でさえ女がいるだの言ってるくらいだ。俺に居てもおかしくないだろ」 進藤はパッと早川を見た。 「ふぇ……ふぇ……」 早川は何だか目がうるうるしては下唇がガクガクしている。まずいな、言い方悪かったかと進藤は少し考えた。 もう早川の望むことをストレートに言ってやるしかない。 「早川、俺とお付き合いしてくれ」 「は、はい゛い゛いいいいいいぃぃいい!」 「おわっ」 早川は進藤のお腹に抱きついて来た。早川の身長的にはここまでしか届かないから可笑しいことはない。しかし、早川はぐすりぐすりと泣いているようだ。進藤は何が悪かったのかと少しとまどい気味だ。 「あんた馬鹿ねー。喜んでるのよ」 何故か横にあった茂みから神川が出てきた。 「ほんと、やっとって感じだなぁ」 剣山も出てきた。 「一件落着ってかんじだねー」 桜井も出てくる。 「いやぁ、非常に良かった。なんだか若い時を思い出す」 北条まで出てきた。 「良かったなー」 「良かったです……」 「いやぁ、しかしお前みたいなキザがなぁ」 さらには水木、橋本、剣崎が出てきた。 一つの茂みに何人居たのか。時刻は丁度9:00を差していた。 「――――早川すまん」 「ほぇ――?」 進藤が早川を体から離す。 「盗み聞き、盗み見か」 進藤は顔を真っ赤にして隠れ茂み組に迫った。 「血祭りだ」 「とりあえず逃げることを命ずる」 北条がそういうと全員が逃げ出し進藤が追い掛けまわし始めた。 「あいつら来てたのかよ。まぁ、確かに入りにくかったわなぁ」 清水が立ち上がって呑気にそう言った。 「ん?」 奈神は真っ白になって「あはははははは」と言っていた。
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