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「あーあっ。進藤の奴のろけやがって」
千尋がパタパタとノートを内輪代わりに自分を仰ぐ。
「雪といちゃいちゃしてるくせに良く言えるわね」
神川が冷たく返す。それには他のみんなもごもっともなようだ。
「ほんと進藤がああなるなんてなぁ」
剣山が頭の後ろで手を組んだ。
「あんたそっちの意味でも独り身だもんね」
「おい神川、そっちの意味で“は”だろ。ダブルで痛めつけるのはやめなさい」
剣山が反抗するも泣いていた。北条はヤレヤレといった感じで会場に歩き始める。
「あー、ほーちゃん(桜井の北条への愛称)は彼氏さんとかいるのー?」
桜井の言葉で北条は華麗に振り返った。
「今はいないけど、今まで付き合った数はわからないくらいね、ふふっ」
自慢げに言い放った。まさに私は大人の女と。
神川が「あぁ」と言い続けた。
「本性がバレては別れ付き合って本性がバレては別れ付き合って」
北条は無言で振り返ってまた会場にあるきだした。
「図星かい」
剣山のため息は熱くなり始めた会場付近に飲まれ消えた。
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