今年の夏も気温と楽器が熱い

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ーープログラム四番、私立永水高等学校によりますーー プログラムは円滑に進み、早くも杉山率いる永水高等学校の出番は回ってきた。 此処の目標は地区大会突破。 安易に見えるかもしれないが、強豪固まるこの地区での地区突破は至難となる。決して下手ではない永水も毎年ここで涙のダメ金となっているわけだ。 「永水ねぇー。あんまり聞かないわー」 経堂寺がのほほんとした声で言った。永水の前に演奏した高校が地区大会突破常連校だった為、少々無名には関心がないようだ。 「いや、多分。多分ただじゃ終わりませんよ、ここ」 「はい?あんた聞いてもないのに…」 「わかるんすよね。あそこの部長が、恥ずかしい演奏する時にあんな顔しないって」 経堂寺は呆れた顔で千尋を見た。どーにも何が言いたいのかさっぱりわからない。 しかし、千尋にはわかった。あの自信満々な杉山の顔。久しぶりに見たという感覚もあって、期待が高まった。 そして課題曲が始まる。 綺麗な音がホールを包むように響いた。 「あ…………確かにこりゃ抜けたかもな」 経堂寺はボソッと呟いた。
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