吹奏楽 いかがですか ?

6/21
前へ
/248ページ
次へ
「吹奏楽やりませんかー?」 放課後、校門の前で 型紙を手に持ち立っている 型紙には「吹奏楽部、人員募集中。詳しくは一年一組新井千尋まで。」 とマジックで地味に書かれている そんな感じで通り過ぎる人波に声をかける だが、チラ見以上のイベントが起きない これは酷い… 「(全然駄目じゃん…)」 千尋が肩を落とした 結局全員下校するまで立っていたが収穫無し やっぱり簡単にはいかないもんだ 「(帰るか…)」 千尋が型紙を折りたたみ カバンにしまい、カバンを持ち上げた 「ご苦労様ー」 不意に誰かが千尋に話しかける 「あ?」 第一声 「あ?」 話しかけたのはジャージ先生 余計なお世話だ 「はいはい。冷やかしですかジャージ先生」 「ジャージ先生て…あたし経堂寺って名前よ。まぁ面識ないからね………それより冷やかしじゃないって、ちょっとした作戦よ」 「経堂寺って………で、作戦って?部員募集の?」 千尋がだるそうに経堂寺を見る 「まぁまぁ、手伝ってあげるわけよ。あたしやっさしぃー!」 1人でわめく経堂寺 「わかりましたから、なんなんすか」 千尋がせかす 「この紙に募集用のコメントを書くの。もちろんあんたがね」 経堂寺がB5程度の紙を千尋に渡す 「好きなだけコピーしたげるからさ。いわゆるビラ配りってやつ?」 経堂寺がまた人差し指を千尋に突き刺す 「なるほど………それは名案…」 「んじゃ月曜日に持ってきたらコピーしたげるからねー。それ以降却下」 経堂寺が千尋に手を振りながら校舎に消える 「ビラ配りか………なるほど」
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

433人が本棚に入れています
本棚に追加