433人が本棚に入れています
本棚に追加
「吹奏楽やりませんかー?」
放課後、校門の前で 型紙を手に持ち立っている
型紙には「吹奏楽部、人員募集中。詳しくは一年一組新井千尋まで。」
とマジックで地味に書かれている
そんな感じで通り過ぎる人波に声をかける
だが、チラ見以上のイベントが起きない
これは酷い…
「(全然駄目じゃん…)」
千尋が肩を落とした
結局全員下校するまで立っていたが収穫無し
やっぱり簡単にはいかないもんだ
「(帰るか…)」
千尋が型紙を折りたたみ カバンにしまい、カバンを持ち上げた
「ご苦労様ー」
不意に誰かが千尋に話しかける
「あ?」
第一声 「あ?」
話しかけたのはジャージ先生
余計なお世話だ
「はいはい。冷やかしですかジャージ先生」
「ジャージ先生て…あたし経堂寺って名前よ。まぁ面識ないからね………それより冷やかしじゃないって、ちょっとした作戦よ」
「経堂寺って………で、作戦って?部員募集の?」
千尋がだるそうに経堂寺を見る
「まぁまぁ、手伝ってあげるわけよ。あたしやっさしぃー!」
1人でわめく経堂寺
「わかりましたから、なんなんすか」
千尋がせかす
「この紙に募集用のコメントを書くの。もちろんあんたがね」
経堂寺がB5程度の紙を千尋に渡す
「好きなだけコピーしたげるからさ。いわゆるビラ配りってやつ?」
経堂寺がまた人差し指を千尋に突き刺す
「なるほど………それは名案…」
「んじゃ月曜日に持ってきたらコピーしたげるからねー。それ以降却下」
経堂寺が千尋に手を振りながら校舎に消える
「ビラ配りか………なるほど」
最初のコメントを投稿しよう!