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「熱い、熱いぜ」
千尋がぼそりとつぶやく。
今日はFMF当日。真夏の暑さの中、吹奏楽の熱い祭典が始まるのだ。
そして一条高校御一行。相変わらずの経堂寺トラックという移動手段。しかし、このトラックの荷台(部屋)の部分には冷房が無い。しかし代わりに扇風機が一台だけついている。五人はそこに固まるように座っていた。
「熱いのはわかってんのよ。一々口出さないで」
神川は扇風機の一番前に陣取りながら千尋に返す。
「あと何分ぐらいなんだ」
肩身の狭い剣山は一番後ろでこぼれた風を浴びている。
「経堂寺の話が正しいなら20分といった所だ」
ちゃっかり神川と同ラインの一番前に座る進藤が地図を見ながら答える。
「楽しみだねー!」
熱いのに元気な桜井は神川にひっつく。
「暑いってばー」
可愛い女の子には優しい神川である。
「さぁ、暴れようか」
扇風機の風が当たるラインから追い出され、床に寝転ぶ千尋がそういうと四人は目を細め頷いた。
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