激闘 FMF 【姫川&山野VS進藤&早川】

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「トロンボーンか。それはここで会う事も仕方ない事か」 進藤は鼻でため息をついては興味を示さないかのように振り向き早川の元へと歩き出した。 「ちょっと、進藤!久しぶりに私に会っといてそれだけ!?」 姫川は進藤が無関心な事に驚いていた。 「…ほかに何かあるのか」 進藤は相変わらずの無表情で振り返った。 「別に、そういうわけじゃないけど。あんた、私と同じ舞台で演奏するのよ」 「当たり前だろ。ここはアンサンブルの舞台だからな」 「そうじゃない!」 姫川は痺れを切らしたのか、進藤の下へとズカズカ歩いてきた。胸の位置まであろう長いパーマがかかった髪が大きく揺れた。 「あれだけライバル視していた私とこうやって張り合えるのよ。なんとも思わないはずがない」 姫川は顔を進藤の顔にぐっと近付けては不敵な笑みを浮かべた。後ろにいる早川はびっくりしたのか、口に手を当てて目を丸めていた。 「あぁ。思わないはずがない」 進藤は目をグッと細めた。そして進藤が普段見せないような、悪い事でも企んだ顔になる。 「俺は今最高に満足してる。またお前と張り合えるなんて夢にも思ってなかったからな」 進藤は脅すように姫川にそう吐くと、何事も無かったかのようにまた振り返り歩き出した。 姫川は特に驚いてはいなかったが、口をぐっと瞑って顔をしかめた。
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